あなたはどこかで「扇風機をつけたまま寝ると死ぬ」みたいな話を聞いたことがありませんか?私もこの手の噂を何度か耳にしていて、疑いもせずに信じちゃっています。
扇風機の風に当たりすぎて、熱中症や極度の脱水症状になり、そのまま亡くなるというのは、十分にあり得るなと思ったからです。
しかし、この話は単なる都市伝説ではなく、本当に起きたことなのでしょうか?扇風機は使い方を誤ると、死に至る可能性があるのでしょうか?以前から気になっていたので、噂の真相を調べてみました。
扇風機をつけたまま寝るのは危険?
実は、1970~1980年代に「扇風機のつけっぱなしで死亡」という内容の記事が新聞に何度か掲載されており、伝説の発端はこういった類の報道が原因ではないかといわれています。亡くなった人を発見した時に、扇風機がたまたまつけっぱなしだったため、当時のニュースで“扇風機が原因”と強調されてしまった可能性は否定できません。
医学界からも「扇風機が直接的な死因とは考えられない」との見解が出されているので、扇風機を直ちに悪者にする必要はないでしょう。
ただ、扇風機が危険をもたらす場合もあります。若くて健康な人なら、扇風機をつけたまま寝ても問題ないようですが、高齢者の方は気をつけなければいけません。理由はこれから詳しく述べますね。
扇風機で体調不良になるのはなぜ?
扇風機を体の同じ場所に長時間当て続けると、低体温症や脱水症状が起こりやすくなります。
低体温症とは、体の中心部の温度が35度以下になる状態のこと。通常、体の中心部は37度くらいだとか。扇風機を直接体に当て続けると、皮膚の温度が1時間で1度下がるそうですし、扇風機の風は弱モードでも結構強いので、注意が必要ですね。
また、脱水症状にも気をつけなくてはなりません。暑い日は汗をかきやすいと思いますが、扇風機の風により汗がどんどん蒸発するため、それだけ体内の水分も失われてしまい、結果的に脱水症状を引き起こしてしまうのです。脱水症状に陥ると、血液がドロドロになり、脳梗塞や心筋梗塞を発症する恐れがあります。
扇風機を使う場合は、必ず首振り機能を利用して、体の同じ場所に長時間当てないようにしてくださいね。寝る時は忘れずにタイマーを設定しましょう。
扇風機だけで熱中症を予防できるのか?
先ほど、扇風機で低体温症になるかもしれないとお伝えしましたが、あまりにも暑い日だと、今度は逆に扇風機が熱中症の原因になってしまうのだそうです。
暑い室内で扇風機をかけても、熱風が体に当たるだけになり、それが体温の上昇につながるんだとか。具体的には“30度以上の真夏日”で危険レベル。扇風機の使用禁止レベルは“35度以上の猛暑日”です。
WHO(世界保健機関)も「気温が35度以上になると、扇風機で熱中症の予防はできない」と警告しています。
若い人はたくさん汗をかくことで、体温を一定に保てますが、高齢者は発汗機能が衰えてしまっている人も多く、体温調節が難しい場合もあるでしょう。高齢者にとって、扇風機は熱中症予防どころか、逆効果になるかもしれないのです。
真夏日や猛暑日は迷わずエアコンを使うようにしてください。扇風機とエアコンを併用するのもいいでしょう。エアコン代を節約して、熱中症で病院に運ばれたら、それこそ本末転倒ですよ。
まとめ
扇風機のつけっぱなしで死ぬまではいかなくても、低体温症や脱水症状になる可能性は十分あるので、必ず首振り機能やタイマー機能を活用して、体の同じ場所に風を長時間当てないようにすること。
真夏日や猛暑日に扇風機だけで過ごすと、かえって熱中症のリスクが高まるため、エアコンも躊躇せずに利用すること。
私もエアコンは何だか暑さに負けた気がして、よく使うのをためらっていましたが、ここ数年は異常なくらい気温が上昇する日もあるので、今ではすぐにスイッチオンです。熱中症は手遅れになる場合もありますから、しっかり対策をとってくださいね。